2006年3月17日〜18日の両日、大阪でFLASH EXPO'06が開催されたので主催者のインタビューを交えてお届けしよう。

FLASH EXPOは昨年より開始されたライブ形式のFLASHアニメ上映会であり今年で2回目の開催である。単日での実施であった昨年の好評を受け本年は2日間に渡っての開催となり、会場の大阪梅田amHALLには連日150名以上の観客が訪れ会場は超満員となる盛況ぶりであった。
FLASH EXPO'06 大阪オフィシャルサイト本イベントはJAWACON(Japan Web Animation Convention。昨年同じく第1回を大阪で開催)やflash★bomb(現在は「slashup」と改称)など類似のFlashアニメ上映会とは一線を画し、テクニックを競うのではなく純粋に作品の面白さで観客を魅了することを目的としており、第三者作品のインスパイアOKという条件で作品を集めて上映しているところに特色があると言える。
そのため当日はオリジナルのFlashアニメを制作する「正規軍」と、インスパイア作品を擁する「モンスター軍」の対抗戦という演出がとられ、作者が登壇してのコメントや解説、そして時折観客を巻き込んでのインタラクティブなショーが繰り広げられる内容に、会場は大きく湧き上がった。
主催者みのぷう氏

初日は基本的に公募の28作品がコンペ形式で上映され、観客による投票の結果5作品が2日目へと勝ち上がり実力派作家の20作品と合わせて上映された。作品の中には過去の上映作品や2チャンネル用語など一定の基礎知識がないと楽しめないものも多く見受けられたが、そんな心配をよそに観客の盛り上がりは作品が上映されるたびにヒートアップ。音楽のライブハウスを利用した会場は、まさにライブ感覚あふれるステージとなった。
会場では作品を出品したクリエイターが自らグッズを販売するというファンには嬉しいサービスも。

また当日はスモークを使った演出や、カナダ在住のクリエイターとのビデオ中継(写真右のサブスクリーン)などの趣向も凝らしておりイベントとしての完成度の高さが感じられた。

livedoorネットアニメでは開催を終えたばかりの主催者に直撃インタビューを実施した。
みのぷう氏インタビュー
−FLASH EXPOというイベントはどう説明すれば宜しいでしょうか?みのぷう まだまだFlashアニメというものの認知度が低いので説明するのは難しいですね(笑)。基本的には個人が自分で物語を考えて映像も作ったアニメをみんなで集まって見て盛り上がろうというイベントです。Flashはまだまだマイナーですのでそれを広めることが出来ればと思ってはいたのですが、これまでに実施されていたFlashアニメの上映会はどちらかというと技術寄りで「どう、こんなのが作れてスゴイでしょ」という自己満足で終わっていました。そこで、純粋に作品を楽しむ場があればと思ってFLASH EXPOを企画して2005年から始めました。
−御自身が主催者に立たれたきっかけは?みのぷう 2003年の夏にflash★bombが初めて開催され私も制作者として出品しました。それはそれで皆さんに楽しんで頂けたようなのですが、ああいう場所に出るとみんな緊張してしまうのか技術寄りの作品が多くなってしまっていたんです。使われているテクニックはスゴイけど作品を見ると「ふ〜ん」といった感じになってしまって。そうではなくて、笑いを中心に作品を楽しむ場があればと思ったのがきっかけです。最初は別の人間が音頭をとって開催しようとしていたのですが上手くいっていなかったので、それならばと私が責任者に立って再スタートさせたのがこのFLASH EXPOです。
もう一つ、自分がflash★bombに出品したときに帰りの駅で偶然お会いして自分の作品を誉めて下さった観客の方が、はるばる福岡からいらっしゃっていたというのも大きな出来事でした。Flashを一緒に見て楽しみたいという需要があると改めて感じましたし、自分の人生はFlashというツールと出会ったおかげですごく楽しいものになったので、それを皆さんにも伝えたい、恩返しがしたいという気持ちが大きかったですね。
−みのぷうさんは元々はAA(アスキーアート)系の職人さんだったんですか?みのぷう いえ違います。パソコンの使い方も全然わからなくて2chも見てなかったんですよ。

−では作家さんはどうやって集められたんですか?
みのぷう 基本的にはFLASH EXPOは公募のイベントですので一緒にイベントをやりたい、自分の作品で盛り上げたいという人を募集したんですが、結果的に昨年も今年も予想以上の応募があって運営チームがプレッシャーを感じたほどでした(笑)。一方で昨年第1回を開催するにあたってごく一部の人には参加をお願いするメールを出しました。実はそのメールには「このイベントは出てもFLASHクリエイターとしては価値がありません」って必ず書くようにしたんですよ。
−え、価値がない?みのぷう はい。先に申しましたとおり優れたFlashを作っている人ほどバカな作品を作りづらくなっている状況でしたので、あえて無茶したままの作品で出してもらいたかったんです。スポンサーさんに対しても自由にやりますと宣言してました。もともとFlashを作っているクリエイターはまず作品を作って公開してみたら評価してもらえて、それで嬉しくて続けていくことでスキルが上がっていった人が多いので、その元の気持ちに戻ってはどうかと。一般からの公募も予想以上にクオリティの高い、純粋に楽しめる作品が集まってくれたので嬉しかったですね。
−主催者としてFLASH EXPOの客層はどんな風にご覧になられていますか?みのぷう 若い歳の学生さんと、結構良い歳の人が多くて間がいない感じですかね。作り手も若い人が増えてきていて、20代後半のFlash作家はビビってますよ(笑)。今14歳だったらなあ〜という感じで。ただそこから刺激を受けて御互いに頑張ろうという形になっています。
−2チャンネルなどある程度の前提知識がないと楽しめない対象範囲の狭いイベントだと思いますが、その辺はどう考えていらっしゃいますか?みのぷう 100人見て90人が良いと思うのではなく、10人や20人だけが楽しんでくれるイベントでもいいと思ってます。逆にそこは万人受けを狙わないのがFLASH EXPOの特徴であり存在意義ですし、2チャンネルのFLASH板との関係は近いですけど「映夜祭」のようにあえてそこを狙わなくてもお客さんは笑ってくれると思っています。ただ実際のところ、FLASH EXPOは2チャンネルのFLASH・動画板とは異なるスタンスで始めたにも関わらず作品としては2チャンネルのネタを使用したものが集まった。これはそれだけ2チャンネルがFlashに与える影響が大きいことの現れであり、改めて2チャンネルというコミュニティの持つ力を感じましたね。
−イベントでは観客を楽しませたい、笑わせたい意識を強く感じました。みのぷう やっぱり笑いが好きなんですね。金と時間と人を投入したファイナルファンタジーみたいな作品も好きですが、一人で短時間で作れるというのがFlashのよさであり、作品を魅せる切り口として笑いというものが合っていると思いますね。私もflash★bombでは最初は技術を見せるMG(Motion Graphic)作品を出そうと思っていたのですが「あれ? それは作っていて自分には楽しくないなあ」と気づいたので、やっぱり自分向けの小ネタなFlashを出しました。今となってはそれで良かったと思っていますし、やっぱり人やイベントによって特性や向き不向きがあると思うんです。その意味でライブ感というところにこだわって言えば、一番みんなが喜びそうなのが笑いかなと。イベントってもともとそれが好きな人が集まるので笑いの閾値が低いんですよ。

−なるほどそれは興味深いお話ですね。FLASH EXPOは他のイベントとは異なり「笑わせる」という明確な狙いがあるわけですね。ところで実際にイベントの中で他の上映イベントを攻撃するなど他団体への意識が強いようですが、ぶっちゃけ他の団体さんとの関係はどうなんですか?
みのぷう あれは演出です(笑)。とても仲良しですよ。喧嘩じゃないけど競争というか。お互いにまだどこもやっていない演出をやってみようとしていて、今回のFLASH EXPO'06ではスモークの使用やカナダとのビデオ中継などまだ他のところがやっていない演出をやったつもりです。イベントの中でも他団体をイジってみたりしていますが、お互いに競争して刺激し合えれば良いねと話しています。
−今後の展望は?みのぷう やはり他のイベントのスパイスになれればよいですね。汚れ役というか、他のイベントで出来ないことをFLASH EXPOが引き受けて実施できれば。そういう引き立て役がいることによってFlash業界全体が間違いなくプラスになると信じています。使い方、アプローチの違いはあれど、もっともっとFlashは広まると思いますよ。
恥ずかしながらこのイベント、そして主催者みのぷう氏をはじめとするスタッフや出演者の方々が持つ熱気はとても文面では伝えきれない。来年は是非皆様にも会場に足をお運び頂き一緒に楽めれば幸いである。
協力:閃光動画万博実行委員会micromedia、ルンパロ氏
(取材・文・写真 / 株式会社ファンワークス)









