イラストや漫画制作の心得のある方なら、いえ、一介のファンだって、有名作家の漫画やアニメを真似して描いてみたことが少なからずあるのではないでしょうか。人気キャラクターはみんなの憧れの的。好きなキャラを自分の手で表現したいと思ったり、別のストーリーを妄想するなんてことはよくあることでしょう。それ程、プロのクリエーターの作品はものすごい影響力を持っているものです。
しかし、お絵かき帳やノートの端っこに描いている分には問題はないのですが、表に向けて発信するとなると話は別、著作権の壁はとても高くそびえ立っています。にもかかわらず、「コミケ」(コミックマーケット)では、何年も前から著作権者に無断でコンテンツの二次利用が行われていますし、昨今、賑わいを見せている「YouTube」「ニコニコ動画」といった動画投稿サイトでもその傾向は顕著です。特に「MAD」と呼ばれる複数のコンテンツをミックスして再構成した作品群では、元作品とは違った面白さが生まれることがあり、それが再生数を上昇させ、さらに人気を集めるという現象が起きています。

(C)Tezuka Productions
「Open Post」お茶ノ水博士&アトムの著作権講座より
すべての違法コンテンツを厳しく取り締まることは、もはや不可能に近いのも事実。仮に禁止できたとしても、それが最善の策かどうかという疑問は残ります。むしろ、クリエーターを育てる場が減少し、新しい表現方法や技術、ひいては文化を生み出す機会を失ってしまうかもしれません。また、作品に対するプロモーション的な効果や、ファンのソーシャルサイトとして機能するといったメリットを捨て去るのは惜しい気がします。作品の著作権者と二次利用したいクリエーターの両者が共存共栄できるような仕組みがあればいいのに..と常々考えていたところ、「Open Post」というサイトが開設されたことを知りました。
「Open Post」は、初心者からプロのクリエーターまでを含む幅広い層に向けて開かれた「コンテンツ投稿サイト」です。クリエーターは一時的に提供された「テーマ作家」の作品(キャラクター、ストーリー、ロゴデザイン、美術設定など)を著作権を侵害することなく、素材として使用することができるのです。また、ビギナーの方やお子様向きである「みんなの似顔絵コーナー」もあります。


(C)手塚プロダクション/Z_project (C)手塚プロダクション/いしいだいすけ
左:「キノコアトム」 右:「福ちゃん」
現段階で提供されている「テーマ作家」は手塚治虫先生だけですが、その世界はとても広く、また、私たちにとって馴染み深いものでもあります。クリエーターの方ならずとも、手塚先生とのコラボ作品を見てみたいと思うことでしょう。「Open Post」は一般ユーザーが気軽に参加できる、ファンのためのオンラインコミュニティとしての性質もあわせ持っています。
「やわらか戦車」と「鉄腕アトム」の夢のコラボ作品である「やわらかアトム」を公開されているラレコ先生と、「ケロロ軍曹」で有名な吉崎観音先生へのインタビューは必見です。吉崎先生は手塚先生の描く女の子キャラを礼賛され、作品名「コラボリューション(仮)」という超かわいいメルモ(子供&大人)のイラストを掲載されています。2008年フィギュアとして商品化され、販売される予定だそうです。両先生とも手塚先生とのコラボについては「もう自分なんかがやっていいのか」と思われているとのことで、その謙虚さと原作への思い入れがコラボ作品にもよく表れているように感じました。


(C)手塚プロダクション/ラレコ・ネトアニ (C)手塚プロダクション・吉崎観音
左:「やわらかアトム」 右:「コラボリューション(仮)」
もちろん有名作家とのコラボだけに留まりません。ここではクリエーターの新たな才能を発掘することが大きな目的となっています。優秀な作品に対しては、コンテンツビジネス関係者の協力のもとに商業化を進めたり、事業機会を創り出すといったサポートも行います。2008年3月31日までの期間限定サイトとは言え、その最終目標は全く新しいビジネスモデルの確立です。振り返れば、手塚先生は近代漫画・アニメの創始者でもありました。そのフロンティア精神は手塚プロダクションにも脈々と受け継がれているようです。「Open Post」は、著作権にがんじがらめにされた現状に風穴を開け、業界に新しい風を呼び込むことができるのでしょうか。



(C)Tezuka Productions (C)Tezuka Productions (C)Tezuka Productions/(C)convex
designed by play set products
左:「astroboy by ohya」 中央:「tezuka moderno」 右:「ATOMUTAN」
この試みが成功するためには、多くのクリエーターの積極的な参加、また、私たち漫画・アニメファンの応援が必要なことは言うまでもありません。そして、コンテンツの著作権者が自らの縛りを振りほどき、この「Open Post」に加わってくださることで、サイトの長期継続が可能となります。単なるパロディで終わらない、イマジネーション溢れるコラボ作品をもっと見てみたいという欲求。それは作品を愛するからこそで、決して原作をないがしろにするものではないはずです。「Open Post」をきっかけに「コンテンツコラボレーション」という文化が日本に根づくことを願わずにはいられません。
【関連サイト】
■Open Post
http://openpost.jp/![]()
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(取材・文・構成/霧笛 望)
【霧笛 望プロフィール】デジモノを初めとするIT系ネタを得意とし、ゲーム・アニメ・マンガ等のコンテンツを愛するオタクかあさん。「livedoorネトアニ」の影響で、ウェブアニメにも開眼。現在、欲望の赴くままにウェブアニメを吸収中。2006年4月より「CNET Japanブログ」に参加。「CNET Japan 読者ブログアワード2006」大賞受賞。









