今回は前回のレポートの関連として、飛騨国際メルヘンアニメ映像祭2006で開催された第4回メルヘンアニメコンテストで受賞のクリエイター3名によるインタビューをお送りする。

| 各受賞者の紹介 |
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審査委員特別賞:青木純氏
「将棋アワー」 (c)青木純 03年の作品「走れ!」の後、制作した作品の数々が各コンテストで受賞を重ねる。このメルヘンアニメコンテストでも昨年「奈良鹿物語」でセルシス賞を受賞。大学同期の5人のチーム「TACOROOM」の一員としても活動している。 青木純 先生
岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)教授・高桑昌男氏コメント 柿とバラの町・大野町賞:丸山薫氏
「吉野の姫」 (c)丸山薫 イラストレーター。02年から自サイトで作品を公開。「星宿海」で第6回アストロデザイン・ムービーコンテスト「DV Japan特別賞」受賞。「吉野の姫」では第4回インディーズアニメフェスタ「グランプリ<三鷹賞>」受賞。 丸山薫 先生
大垣女子短期大学教授・篠田英男氏コメント 奨励賞:中田彩郁氏
「おばあちゃんの作業部屋」 (c)中田彩郁 初作品「舌打ち鳥が鳴いた日」(共同制作:監督)で第5回ユーリー・ノルシュテイン大賞「デビュー賞」、第10回学生CGコンテスト「佳作」受賞。「おばあちゃんの作業部屋」で第6回ユーリー・ノルシュテイン大賞「ヒューマン賞」、第11回学生CGコンテスト「佳作」受賞。
アニメーション監督・片淵須直氏コメント |
−お互いの作品の印象はどうだったでしょうか?
青木 丸山さんの吉野の姫は、三鷹のインディーズアニメフェスタでは上映の時間帯の直後に来たんで見れてなかったんですよ。なので今回初めて見て。今まではインディーズアニメフェスタのサイトの静止画だけでした。暖かい感じの絵でいいですよね。僕の描く絵はフラットな感じのばかりなんで。中田さんは絵本作家になりたいとの事ですけど、自分みたいに屈折してなくて素直な作品でいいですね(笑)。
丸山 青木さんの作品は前から好きですね。コタツネコのスピード感とか。今回受賞の将棋アワーも青木さんのサイトで見られますけど、盛り上げ方や落とし方がプロですよね。中田さんのは全編ああいうタッチで描かれてるのが凄いですね。統一された画風で全部のコマが動く。私の目指すところです。
中田 青木さんの将棋アワーはICAF(インター・カレッジ・アニメーション・フェスティバル)2006で初めてみました。番組の特徴を捉えた間延び加減がいいですよね。いい意味でこういう作品が自分には作れないので羨ましいです。丸山さんのは画力があるので引き込まれます。
−そもそも作品を作ったキッカケはどんなもんでしょう?青木 基本的には他の自主作品同様にただの思いつきと言うほか無いのですが、実は昔から将棋は大好きだったのでこれは僕の将棋と将棋番組への個人的な愛の表現でもあります。
丸山 JAWACON2005という上映イベントのために作った作品ですが、 ストーリー自体は数年前から頭の中でぼんやりと形になっていました。もともとは何気なく描いた一枚の絵からキャラクターや断片的なシーンが徐々に浮かび上がって来てまとまって行ったという感じです。
中田 「自分の体験した出来事をアニメーションにする」という学校の課題が大前提としてあったのですが、やはり祖母の存在が自分の中でとても大きいからだと思います。祖母との思い出はとても鮮明に覚えています。彼女は自分が最初に出会った美術に携わる人間であったし、彼女と同じ種類の人間であることを祖母は見抜いていました。祖母がいなかったら、今美術に関わってなかったかもしれないです。
−制作に当たってのネタ出し、作り方は皆さんどんな感じでしょうか?青木 寝る前。最近は〆切前に搾り出してますね。出てくるまで寝ません。自然には出てこないので。2Dアニメの場合は紙に線画を描いたものをスキャン、そこからはPhotoShopで彩色して動画編集はAfterEffectsとPremiereですね。コマ撮りアニメの場合はまず素材を買ってきてセットや人形を組んでデジカメで撮影、CLAYTOWNで編集します。
丸山 断片的に普段から思ってる事が固まってくる感じです。イラストの仕事は始めから設定が決まってる場合が多いです。PhotoShopで彩色までは青木さんと行程が同じですね。動画編集はFlashですけど、mov書き出しした際の調整はiMovieでやってます。
中田 作品を制作している最中に、次の作品を思いつくことが多いです。不思議ですけど。それから電車に乗っている時も多いです。きっと何の遠慮もなしにぼんやりしていていい時間だからでしょう。本や舞台などから刺激を受けて、思いつくこともあります。紙に線画を描いたものをスキャンして動画確認してから、絵の具と色鉛筆で彩色してそれをまたスキャンしてます。動画編集は青木さんと同じでAfterEffectsとPremiereです。
−完成しました。作品の公開先に関しては?青木 出す場所を選んだ事はないですね。自分のサイトでも作品を公開してるので。アニメーション制作は作り出したら完成するまで大変なだけですから、楽しみと言えばコンテストの授賞式へ行くくらいしかないです。
丸山 まずはイメージを形にしたいというのがあって、出来上がれば満足ですか。出来るだけネットで出したいところですが、最近の作品はファイルが大きくなりましたので。コンテストは作り始めた頃はそもそも知りませんでしたね。
中田 制作中は自分の作品に納得行かなかったりとか「早く動いて!」とかいう感じです。コンテストに出して他の作品を見たりするとまた刺激になりますね。そろそろサイトも作ろうかなとも思います。
−今後の作品制作や仕事に関しては?青木 エンターテインメントど真ん中で行きたいです。そのへんのワイドショーとか見てそうなおばちゃんが楽しいと思えばエンターテインメントかも。自主制作も続けて行きたいと思いますが、依頼が来る仕事も自主制作に基づいたものばかりですね。比較的に自由にやらせてもらってますけど、案を複数出しても結局その中から決まるのがネコだったりで(笑)。今後もうまい酒が飲めるように頑張ります。
丸山 ビジネス中心で行くにはまだまだスキル不足なので、細かいムービー等作ったりしていろいろ勉強したいです。次回は未定ですが、例えばオムニバス3作とか。2年前くらいから言ってる気がしますけど。マイペースでぼちぼちやって行きます。
中田 何となくじゃなくて感情移入出来る作品を作りたいですね。ストーリー重視の。今やってる事が仕事につながればいいですね。真面目くさった作品ばかり作っていますが、興味を持って見て頂けたら嬉しいです。
以上見てみると、制作方法が3者様々であるところが興味深い。これから制作してみようと思う方の参考になると幸いだが、彼らもまた日々の試行錯誤から編み出した独自のスタイルなので制作するに当たってのアプローチは多種多様であるのが分かるだろう。
そして2006年3月23日〜26日に行われた東京国際アニメフェア2006の第5回東京アニメアワードでも青木氏が「コタツネコ」で東京MXテレビ賞を、丸山氏が「星宿海」で動画革命東京賞をそれぞれ受賞した。


今後の益々の活躍を期待しよう。
協力:財団法人岐阜県産業文化振興事業団、東京国際アニメフェア実行委員会
(取材・文・写真 / 真狩祐志)
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