大学では未練がましく演劇も再開したんですが、そこで演劇用にスクリーンに投影する映像を作ってみないかと先輩に言われて作ったのが、実は初アニメーションなんです。
ちょうどそのころ、森本晃司監督の作成したケンイシイのPV「Extra」だったり、アングラ系のアートアニメーションや演劇に惹かれていたのもありまして映像への興味が高まっていたんです。そこでさらに大学内での上映会用に「我ハ機ナリ」いうビデオクリップ的な映像を作ったところ注目して頂いたんですね。それをNHKのデジスタに送ったところOAされまして、そこから作品を作り始めたって感じです。
自分としては2作目の「キクマナ」が大きかったですね。海外で賞を頂いた(ヨーロッパ最大級のアートと科学の祭典、オーストリアのアルスエレクトロニカでHonoraryMentionを受賞)のも驚きましたし、この作品で自分の建築設計好きなところや演劇好き、SF好きが作品に投影されていることに気が付きました。それは次の「水のコトバ」でさらにはっきりしましたね。
−キャリアプランはどのように考えていらっしゃいましたか?たとえば大学に入られるときには、今のような状況は想像されてましたか?吉浦 大学在学中に行動を起こして何らかの取っ掛かりを得ようとは思ってましね。それが今はちょっと実った感じはあります。もちろんCGプロダクションに就職しようとも考えましたが、うまい具合に今回の「ペイル・コクーン」の制作のお話を頂けたので就職はしませんでした。
−制作のスタイルは決まっていますか?吉浦 作品ごとに見事にバラバラですね。最初にビジュアルイメージが浮かんで話を作ったのもあれば、逆に話や企画が先にあってそこに絵を載せていくのもありました。たとえば「水のコトバ」はまず最初にお話があり、あの空間でバラバラに色々な人が喋りそれを縫うように逆算して絵をつないでいく方法で。一方で「キクマナ」だとアート系のものが好きだった時期なので、先にビジュアルが浮かんで、そのビジュアルを分解していくような感じで話を作っていきました。
−総合芸術としてのアニメという感じでしょうか。吉浦 アニメを作るのは実は理由がありまして、自分が立てる企画には、非日常的なSF的要素が必ず入ってくるんですね。そうなったときに実写で作るのはイメージとずれる点があり、アニメーションが一番フィットすると感じています。実際「ペイル・コクーン」は実写にワンフィルターをかけたような感じで作っています。自分としてはアート的な部分とプロット重視のエンターテインメントな部分とがうまい具合に融合するのが好きなんですよ。それが核の部分から噛み合ったような作品が出来れば、それが自分の理想ですね。

吉浦 ありますね。演劇をやっていたからか、キャラクターの演技とか間に関しては実写ベースで考えるクセがあり、ライブ(実写)にはすごく興味がありますね。
−作品を通じて描きたいモチーフは一体何なんでしょうか?吉浦 作家が一生涯追い求める命題ってやつですね(笑)。まだ自分が意識するには早いかなと思ってます。作品を作っていくうちに出てくるんじゃないかなと。あえて今は考えないようにしています。
−過去の作品を振り返って、御自身でどういう評価をされてらっしゃいますか?吉浦 過去の作品はまともに見れないんですよ(笑)。完成したときに晴れやかな気持ちであったことなんて一度もないんです。ダメな部分が頭にまとわりついてしまって。公開した後は色々な方の意見を聞いて若干冷静にはなれますが…。昔より上のものをと心がけて作っていますので、まだ満たされないという創作意欲があるからこそ次を作ろうという気持ちになるんだと思います。
−制作環境について教えて下さい。今回の「ペイル・コクーン」では映像制作プロダクション:ディレクションズがサポートしたとお聞きしましたが?吉浦 そうですねディレクションズさんと企画・脚本を2003年から詰めていき、何度も企画を書き直したりして実際には2004年の初頭から作り始めまして、2005年1月に大まかには出来て2005年の5月に完成しました。その意味で制作期間としては1年+αといった感じですね。
(ディレクションズ 長江努プロデューサー) 今回は個人制作の限界に挑戦するという位置づけで制作したので基本的に制作の中身は吉浦さんですが、我々は環境作りをさせて頂きました。企画の中身をキャッチボールしたり、アウトプット先を見つけてきたり。とくに本人が制作中でなかなか客観的に見れない部分を指摘して検討してもらったり、言ってみれば漫画家についている編集者の役割ですね。本人が福岡に住んでしたので、ファイルはウェブにアップしてやりとりして進めました。回線的にも特に問題はなかったですね。
吉浦 煮詰まっているときに助言を頂いたり、音楽をサポートして頂いたりとても助かりました。一人じゃとても作れなかったと思います。ただ今回の「ペイル・コクーン」で痛感したのですが、少なくともクオリティ面に関しては、これ以上僕個人で底上げしようとは思わなくなりました。









